ワーキングマザーをしていると、仕事をいつまで続けようか、という迷いを抱えながら働いている人が多いことに気づきます。
産休・育休から復帰して、まず子供が幼稚園に通う年齢に達するときに辞める人がいて、次に小学校入学、(学童保育枠がなくなる)小学四年生、さらに高学年になると中学受験のサポートのため、マイホームローンの弁済の目処がついたなどの個別理由で離職するワーママさんたちがいます。中には折衷案として、時間短縮や転職による負担減を試みたり、家事サポートを入れるなどして、クリエイティブに乗り切る人たちも多いようです。
働き続けることのメリットとデメリットをよく吟味して、後悔のない判断をすることが重要なのはいうまでもありませんが、多くの人が自分のキャリアを左右する重要な決断をするときに、自分と似たような考えを持つ人の意見を聞いたり、共感できるケースを積極的に探すことが多く見受けられます。
誰かに背中を押してもらいたいという思いは誰にでもあるので、肯定感を求めることも時には必要かと思います。ですが、本当に自分の判断を後悔のないものにしていくためには逆のアプローチが必要かと思います。
以前にアメリカで受けた研修に質問力を鍛えるという趣旨のコーチングがあったのですが、とても有益な考え方なのでご紹介します。
まず、あるルールに従って、インストラクターが三つの数字を並べていきます。例えば・・・
4 8 16
10 20 40
こんな風に数列のサンプルが提示されて、「ルールを見つけるための質問をしてください」と言ったら、どのような数を組み合わせてコードを破りますか?
上を見ると左側のが数字を倍にした数字が右側にくるんじゃないかと思った方、それを肯定するために、例えば「1 2 4」、あるいは「6 12 24」などと確認するための質問をするでしょうか?それとも、「1 2 5」とか、「6 12 13」などと倍数にならないように変えてみますか?
質問の質という観点からは、前者の質問より、そうじゃないかと思ったことを試してみる後者の質問の方がレベルが高いのです。
ちなみに、上の「一定のルール」は「1 2 5 」 でも、「6 12 13」でも成立します。ということは、後者の質問をしたことで「右側の数字が必ずしも左の数字の倍である必要はない」という発見ができたことになります。
次に、こんな疑問が出てきます。左から右にかけてなんらかの法則で数字が増えるというのがルールだとしたら、三つ目の数を減らしてみるとどうでしょうか?例えば、「5 9 7」を提案すれば確認することができますね。答えは「オッケー、ルールに則っています」。
ということは、右肩上がりに上がらなくても良いということになります。では、二つ目の数字をへこましてみるとどうでしょうか。例えば、「3 2 5」。答えは、ノーです。ルールから外れます。
種明かしをすると、上のルールは、右側の二つの数字が一番左の数字よりも大きいこと、というものでした。ですので、三つ目の数字が二つ目の数字よりも小さくても構いません。
自分がこうなんじゃないかと思ったことを試すには、それを崩してみないと本当のところは分からないという事がわかります。左の数字の倍数を右側に並べることしかしないと、答えを探し当てることはできません。
これを実生活に当てはめた時、「そろそろ仕事を辞めようかな」と思ったとして、これを肯定するように「辞めた時にきっとこうなるだろう」ということにばかり目を向けていると、本当に仕事を辞めた時になって初めて思いもよらなかったこと(本当のルール)を見つけることになるかもしれません。
上のクイズになぞらえると、最初の数の倍数になるような数列ばかりを探すと、それを肯定することしかできません。もう辞める意志が固ければそれも良いかもしれませんが、本当に今が辞めどきかを考えるのであれば、その疑問に対して挑戦的な疑問をぶつけていくことが効果的です。
例えば、実際に仕事を辞めた人の中に、冷静にメリットとデメリットを分析してくれることはないだろうか(知り合いがいなければネットで探す)、後悔していることがあるとしたらどんなことだろう、止め時についてもう一度やり直せるなら同じ決断をしたのだろうか、あるいは辞めるという選択肢の他に働き方を変えることはできないだろうか、今の会社で難しければ他の会社どうだろう、ワーキング・マザーとして転職した成功例のポイントはなんだろう、失敗例にはどのようなものがあるのだろう、今準備しておくべきことはなんだろう・・・。
質問に広がりができてきたらしめたものです。大切な決断を下す前には自分自身に沢山の問いかけをししたいものです。辞める決断をするのはその後でも遅くありません。
