先日、シンガポール国立大学が提供するBlockchain and Digital Asset という講座を履修しました。ビジネススクール卒業時のおまけ講座(⁈)で、月曜日から金曜日まで毎日4時間半、事前のケーススタディ取りまとめ、ミニクイズ、最後にチームプレゼンという盛りだくさんの内容でした。と、今日は講座の内容ではなく、子を持つ親として考え直したことがいくつもあったので、そのことを書きます。

今、デジタルの世界で起こっていることは、私を含め大多数の一般人には大変分かりづらいものです。エンジニアやコーディングの世界の話なんじゃないかと思いがちです。ですが、特に若い子供を持つ親の世代が、この怒涛の革命について全く無知なままだと、とんでもなく遅れた教育をしてしまい、子どもの世代が二次被害に遭うことも考えられるので、次世代のためにも新しいことを学ぶことに時間とエネルギーを投資してほしいと思います。

自分自身、子育てと職場の往復に没頭せざるを得なかった数年間はニュースを見る時間もないような生活でした。家族のためにひたすら自分の身を削ることで、子どもたちを食べさせ、情報収集には最低限のことにしか時間を使えない時代が確かにありました。情報発信後から追いつくことができます。今すぐに時間が作れない方へのとっておきのアドバイスは、中田敦彦さんの「YouTube大学」動画です。「ブロックチェーン」、「NFT」、「DAO」の授業がコンパクトで非常に秀逸。数時間見るだけで、世界が広がりアンテナがたちます。

さて、デジタルアセットとは、ブロックチェーンをベースにした様々な技術躍進が現在モーレツなスピードで進んでいるコンピュータの世界でやりとりされている新たな形態の資産のことで、最終的には(今も既に一部の人にとっては)身近な暮らしに直接影響します。

まずは、クリプトカレンシー(ビットコインやイーサリアムなど暗号通貨、仮想通貨といわれるものが数千種類)があります。これらは「通貨」なので、「代替性」がある(新しいコインも古いコインも価値は同じ)のですが、最近よく耳にするスマートコントラクトという技術ではこれが代替性のないものにも適応できる「NFT(ノン・ファンジブル・トークンの略で「非代替性トークン」と訳される)」ができたことで、市場が一気に盛り上がりを見せています。デジタルアートや動画や、唯一無二の制作物がトレードできるようになったからです。

さらに、ブロックチェーン技術の浸透により、DAO (Distributed Autonomous Organisaiton) と言われる「分散型自立的組織」という、英語でも日本語でもピンとこないものが出現。これはビットコインなど仮想通貨の管理体制そのもので、どこかの運営会社や中央銀行がデジタル通貨を人の手で管理しなくても、完全にコンピュータのコーディングで24時間半管理できる仕組みです。このDAOはまだ新しく、コーディングに穴があるとハッキングされてしまう事件や、悪意のある集団が意図的に攻撃を繰り返すことが多発しています。

ただしDAOがなくなることは考え難くて、このような成長痛を乗り越えながら技術に向上による圧倒的なメリットを強固なものにしていくと考えられています。DAOの最大の特徴は、マネージメントに人がおらず、株式の代わりに発行されるトークンを購入した人には、民主的な投票権が与えられ、経営判断に参画できます。今のところはまだまだ問題の多いDAOですが、この出現により、これまでデジタル世界に君臨してきたGoogle やFacebook といったデジタルビジネスは、徐々にマーケットのポジショニングを失うことが予言されています。

また、現在は株式会社として機能している事業は、部分的あるいは完全にデジタル化されることでDAOに収斂されていき、人的労働が要らなくなるものがでてきます。特に、公証人サービスや、弁護士業務、会計業務の一部は該当します(新たな仕事の出現可能性はあら、完全にはなくならないが人の手による仕事が領域が狭まっていくと考えられています)。

そして、上のような技術がビジネスコミュニティによって咀嚼され、ユーザー目線で様々な試みがなされることで、よりコマーシャルなものとして、私たちの生活に直結したプロダクトが徐々にもたらされてきます。Web3 と言われるのがそれです。Web1の時代はインターネット。一対一でメールでやり取りできたり、検索エンジンに高速でつながることで革命が起きた時代です。その後に起きたWeb2が今の時代で、SNSやYouTube、TikTokで個々人がメディアを直接持ち、世界に向けて情報発信したり、やりとりできるようになった時代です。今のままでも十分便利…ですよね?

なぜWeb3なのか。何が変わるのか。上にも書いた「分散型」、「自立型」というキーワードに象徴されるとおり、これまでのGFFAMのような巨大デジタル企業のプラットフォームに頼らざるを得なかったものが、分散的に自動化された形で可能となり、集中していた権力が今後は分散化され、より新しく、便利なものが開発されていきます。

このことは否応なく、次世代の働き方を変えていきます。STEM教育(Science, Technology, Engineering and Mathematics)の重要性が声高に言われても久しいですが、これらは次世代にとってはもはや教養なのかなと思います。さらにSTEMに特化しすぎることはむしろ大きなリスクで、こんな時代だからこそチーム力とかコミュ力は今より大切になってくるような気がします。

子どもの教育を考える上で、小学生は漢字の書き順や書道が必要なのか?中高生は源氏物語や漢文が必要なのか?大変疑問に思います。また、日本の学校(幼稚園から大学に至るまで)への願書が未だに手書きで膨大な紙の資料を提出しなければならないことも、いい加減やめようよと言いたい。

少なくともOECDに加盟しているような国では、100%オンラインで完結するのが今の常識で、ましてやG7の中でこんな状態なのは日本だけではないでしょうか。古文漢文を学んだり文字を美しく丁寧に書くというような情緒的なことは、好みやアートの領域(歴史や美術の時間など)で選択科目としてやればいいのではないかと思います。

時間は有限で履修科目はトレードオフの関係にあるので、若い世代にとっては、最新の教育を受けられないことは機会損失に他なりません。同じ時間を使って英語とSTEM教育にがっつり時間を使うことが、次世代の将来にとって大切だと強く感じた一週間でした。