ビジネススクールでの最初の授業が始まる週の前日にオックスフォード入りしたのですが、この日曜日の夕方に “Please come to Ashmolean at 6 o’clock.’ という謎めいた招待状が学校から届きました。住所も書かれておらず、これが大学の校舎の名前なのか、部屋なのか、場所なのかもよくわかりません。まるでシャーロックホームズに出てくる怪文書のようですよね。

ネットで検索すると、アシュモリアン美術館しか出てこず、これ以上のインサイダー情報は手に入らなさそうだったので、ビジネススクールに問い合わせることにしました。ただ、日曜日のため電話やメールは使えそうになかったので、スクールの受付に誰かいないか探しに行きました。受付には人がいたのですが、詳しいことは全くわからないということで、なしのつぶて。

この時点ではまだ街に知り合いが一人もいなかったので、ダメ元で唯一の手がかりであるアシュモリアン美術館にとりあえず行ってみることにしました。でもこの美術館、レストランやダイニングルームのある大規模施設ではなさっぽいのです。

※ネタバレ注意。今後、サイードビジネススクールに入学される方は、ウェルカムイベントを新鮮な気持ちで体験して頂くために、この先は読まない方がよいかと思います※

正面玄関から入るのも気が引けたので横に回ってみると、頭を下げないとくぐれないサイズの不思議なドアが開いているではありませんか。「なにこれ?不思議の国のアリス的な趣向?」と首を傾げながら入ってみると、そこは守衛室。勝手口のようでした。招待状を見せるも、自分には分からない。正面玄関から入ってみれば?と言われたので、そうしてみることにしました。

アシュモリアン美術館の中に足を踏み入れて、驚きました。地下の部屋に通されるとビジネススーツを着た人たちが沢山いて、みな少し不安と期待の入り混じったような表情で社交的な挨拶を交わしていました。「ここってすぐに分かりましたか?」と、出会いの挨拶もそこそこに聞くと、多くの外国人たちは皆一様に不案内な招待状に首を傾げながらここに辿り着いたといいます。

そうこうしているうちにグラスをチリンチリンする音が聞こえ、階段の上から一同を見下ろすスクールの学校長、ツファノ氏。ハーバードで30年ほど教授を務め、サイードビジネススクールに移ってきた有名な方です。「今みなさんの周りにいるのがこれから一緒に学びの旅に出かける仲間たちだよ」。ひとしきりスピーチした後、「今日は普段から付き合いのある美術館を貸し切って、彫刻などを眺めながら食事をする」趣旨ということで、食事の準備はもうできているから、ホールの方へ移動してください」とのことでした。。と、なんかもう劇場型のウェルカムパーティだったのだということが判明したのでした。

Ashmolean Museum

彫刻が並ぶ厳かな雰囲気のホールで、初めて顔を合わせる仲間とひとしきり飲んだり食べたり、願書の時にお世話になったアドミッションオフィサーやプログラムのダイレクターにも挨拶ができて、本格的に大学院でのこれからの生活が始まるのだ…とテンションが上がりました。

私たちの次の回の入学生が2021年1月に入った直後に、グローバルパンデミックによる渡航制限が本格化し、そこからの一年は全てがオンライン化してしまいました。現地で感じた不安やドキドキ、人との握手や会話の高揚感、同じ空気の中でしか感じることのできない体験を滑り込みでできたのはとてもラッキーなことでした。