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MBA留学:リーダーシップと人生の戦略図

Oxford Skylines

ビジネススクールでは何回かに分けてリーダーシップについて学ぶ機会がありました。通常の学科(統計学、経済学、会計学、ファイナンス、マーケティングといった個別に詰めて受ける授業)とは違い、Leadership のようなふんわりした科目はカリキュラム全般に横たわるコンセプトでもありました。

なかでも戦略論(ストラテジー)はなかなか面白かったです。目標は何か、ステイクホルダー(目標達成の受益者)は誰かをまず明らかにするところから始まり、いろんな企業が何を目指して事業班判断を下すのかを学びます。ハイブランド(例えば万年筆のモンブラン)とローブランド(薄利多売の大衆向けボールペン)では経営戦略が全く違ってくる、というようなことですね。

その上で、競争優位性がどこにあるのか(得難い技術やブランド、あるいはどこよりも安いという低価格競争力)という他にはないユニークさや他が真似できない何かを突き詰めることの重要さ、市場に似たものがあればどちらかが淘汰されていく。。という実例を学んでいきます。さらに現在ではイノベーションのペースがどんどん早くなっていくため、ここにイノベーションを維持する力という能力も問われてきます。

戦略クラスのアサインメント(評価の対象となるリサーチペーパー)のお題は、自分の関心のある業界で会社を3社選び(営利でも非営利でも可)、その戦略を論じるというもの。その会社も、「これは我が社の戦略です」というような提示はしていないので、市場でのポジショニングやターゲットとなる顧客層、商品やサービスの狙い目などから戦略を推測して、その是非を問うというもので、好きな会社を調べて議論できるのはとても楽しかったです。

個人的に思ったのは、こういう大事なことは人生の早い段階で知りたかったなということと、戦略的なアプローチの仕方や評価の方法を組織レベルだけでなく、個々人の生き方にもっと取り入れるべきだということです。子どもの頃や10代の頃というのは、「将来なりたいものは?」みたいなことは聞かれても、落とし所は「とりあえず学校の勉強頑張ろうね」みたいなことになっていて、特に女の子の人生については人生の目標設定自体が狭く小さく設定されてしまっているなと感じます。いまだに女性リーダーが出づらいのは国家間の差こそあれ、全世界的に共通していることです。

まだ10代、20代の若い人たちの人の頭の中にあることを整理すると、結構な頻度でジェンダーバイアスが(自分自身の夢や目標について)かかっている気がします。若い頃から最高レベルの目標を目指して着々と頑張る人もいれば、目線が低くて目の前の選択肢からしか物事を選ばない癖がついている人がいますが、これは能力の差というよりも家庭環境や生育環境に左右されるように思います。また、女性の場合は結婚や出産をしたいという思いで何かと物事をセーブする傾向にあり、ロールモデルがまだ十分にいないこととも影響しているのかもしれません。

実は、戦略のコースを受けながら、人生の戦略図というようなことを考えざるを得ませんでした。自分自身についても、子どもが生まれてからは特に自分の時間が自分でコントロールできないような気がしていたし、この後はずっと子どもの事情に振り回されていくんだろうなという感覚になっていました。まとまった時間を取ることは難しく、仕事をする傍らで食事や家事や子どもの学校のことに追われる日々。「戦略」などという言葉が入る余地もない生活を送っているのです。

でもちょっとまてよ、と。世界最高峰の企業の幹部らが知恵熱を出して戦略を練っているのに、一番大事なはずの自分の人生の戦略図を持たないのはおかしいと思うのです。どうせ思うようにならない人生だからこそ、ベストな状態に持っていくために戦略が必要です。そして、その最初にくるステップが目標設定です。ちなみにここでいう目標はパーパス(Purpose)のことで、目的(Objective)や手段(Means)とは本質的に違うものです。例えば、「志望校に合格する」というのは目的で、そのためには「予備校に通う」というような手段が必要ですが、「その先に成し遂げたいこと」がパーパスです。「とりあえず大学に入って」とか「一流企業に就職して」いうのは、パーパスが不在ということになります。

パーパスを設定するという心の持ち方ができるには、ある程度経済的な豊かさも必要になります。仮に両親がコンビニのパートタイマーで、人生の選択肢が他にあることを教えてもらえない子どもがいたとしたら、その子どもが自然にパーパスを設定することはかなり難しくなります。でも本当はそんな人にこそ戦略的思考が必要なのだと思います。貧困から脱却するには、中産階級から富裕層になるよりも難しいことです。環境的に恵まれない人にこそ、さまざまま選択肢があることや、幅広い考え方に触れることを学ぶメリットが大きいので、そんなふうに社会が変わらないと経済格差の固定化はますます進んでいくでしょう(というのは私が目指している社会起業でとりくんでいる課題なのですが)。

下は、ビジネススクールに通う過程で、私がなんとか心身のバランスを取るために心がけたことです。仕事・家庭・学業の三つのことを不完全ながらもなんとかこなせたのは、自分の中に戦略図が描けていたからでした。側から見ると何をやっているのか分からないような状態でも、自分しか見えない道でもそれが描かれていることがとても重要になります。そのために必要な準備がこの4点で、いつも忙しくなると疎かになりがちなので、自分を戒めるためにも書いておきたいと思います。

まず、第一にフィジカルなコンディションを整える。寝る、食べる、休むなど、健全な精神を健全な肉体に宿らせることに集中します。といつつ睡眠は5時間以上は厳しかったので、お正月休みやお盆休みなど、長期の休みを取れる時に何も予定を入れずコンディションの復活に使う、ということをやりました。子どもがかわいそう、とか思いがちですが、親が不安になったりイライラしている方がかわいそうだと割り切り、まずは体調管理を優先しました。

次にメンタル。フィジカルをチューニングしながら、自分のために時間を使います。無理矢理でも自分の心に向き合う時間をとります。特におすすめなのは散歩です。歩くことで心が落ち着き、適度な日光量を浴びることができて体も適度に疲れます。これは自律神経のコンディションを整えるのにも役立つと言われている科学的な方法です。しかも毎日する必要はなくて、週に2ー3回が提唱されています(が、私は超多忙なため週一も怪しいところ…でしたが、やらないよりはやったほうが断然良いです)。

そして、何も書かれていないノートを常時持ち歩いて、あれこれ浮かんだ考えを書き出す。このとき、スマートフォンやアイパッドではなくて、物理的に紙(A4ノートがベスト)と鉛筆・ペンで、文字や絵を混ぜて書くというのがおすすめです。デジタルツールはサイズが小さいので思考も小さくなりがちで、機能の切り替えなどをしているうちに、思考に割くべきリソースや集中が削がれてしまいます。これは、頭の中の浄化作用を促進できると言われる方法で、いろんなところで推奨されています。頭が糞詰まりだと毒が溜め込まれて、良い思考パターンが生まれません。

最後に、自分のことをたくさん褒める。わたしたちの多くは、自分に甘いのは良くないと教えられ、必要以上に自分自身に辛辣な対応をしがちです。でもこの内省の癖は、自分を追い詰めがちで、ただでさえストレスの多い生活の中では、有害なことが多いのです。これまで頑張ってきたこと、乗り越えてきたこと、誇れることなど、自分にしか分からない「よくやった!」ということや、人からよく言われる「長所だね」というポイントを、これも紙に書いて、何度も頭に刷り込みます。これはポジティブな思考にも必要ですが、自分にしかできない役割(使命、天職)に出会うためのステップでもあります。

と、いうようなことを例え断続的にでも続けることで、自分や自分の抱えている問題とポジティブに向き合い易くなるように思います。自分の本当の役割ってなんだろう、自分にしかできないことってなんだろう、と考えて行った時、心の底から「やらねば!」という思いとエネルギーが湧いてきたらしめたものです。自分の声に耳を傾けることこそがリーダーシップの源泉だと私は思います。

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