レジリエンスを鍛える子ども向けの本(試作品)

ビジネスの世界では、ビジョナリーやパーパスと並んでレジリエンスというバズワードがよく使われます。ビジネススクールにいた当時、リーダーシップや戦略のクラスでは、こういう要素がなぜ組織を強くするのかを説いた研究結果をよく読みました。特にこの「レジリエンス」は、一般的に個人のレベルでも大切なことと言われています。

起業家の仲間が、写真にある「不思議の国アリス」もモチーフにした子ども向けのジャーナルブック(中に書き込んでいくドリルのようなスタイル)を作成したので、子どもと一緒に試作品のフィードバックをしているところです。このジャーナルブックの目的は、子どもに折れない心や好奇心を失わずにチャレンジする心を教える目的で作られたそうです。

言われてみると、アリスは不確実なものへの対応が上手ですよね。考えてみれば、よく分からない世界に飛び込んで、その先に何があるか分からない扉をこじ開け、不条理な裁判にかけられたり…と、これが現実ならかなり悲観的になりそうですが、かなりポジティブに受け止めて前に進み、最後は「あー、楽しかった」で不思議の国への旅が終わります。

ちなみに「レジリエンス」という言葉は、日本語にとても訳しにくい用語の一つです。「精神的回復力」とか、「速やかに立ち直る力」などと回りくどく説明されますが…今ひとつピンとこない。単に「打たれ強い」にある悲壮感とも違うし、「粘り強い」にあるど根性ともしっくりこない。だから訳さずに「レジリエンス」となってしまう訳ですが、不思議の国のアリスは、かなりわかりやすくレジリエンスを体現した話だといえます。

逆に、こればレジリエンスの真逆のケースだと思ったことがあります。特に、子を持つ親として気をつけなければとも思ったのは、ネットの動画配信で見た元歌手の華原朋美さんのインタビューでした。彼女はもともと教育熱心な家庭に育ち、乗馬で国体まで行った経歴の持ち主であり、大変な努力家だったそうです。ただオリンピックに出れないと分かったので乗馬はスッキリと辞めて、芸能プロダクションにスカウトされたのをきっかけに芸能界にデビューされました。その後の活躍と顛末は多くの人が知るところで、現在は、昔の自分とはすっかり決別して、スッピンや大食いをテーマに「ありのままの自分の姿を」動画に上げているといいます。

端折ると上のような話なのですが、努力家で才能にも恵まれていたのに、何か大きな目的に到達しないと分かった瞬間に全てをやめてしまったり、180度方向転換きてしまう。これは、教育熱心な親の子にありがちな傾向で、努力の目標が他人目線で設定されてしまった結果であることが多いのです。つまり、褒められるからやる、結果が伴うからやるけれど、そうならなければ完全に辞めてしまう。これは自分の軸(楽しい、知りたい、やってみたい)がエネルギーになるレジリエンスとは真逆の対応です。

何かを続けていると、嫌なことや思い通りにならないことに出会したり、いつも順風満帆という訳にはいかないもの。そんな時こそ辛抱強く、全てを投げ出してしまわず、しなやかに切り抜けたいものです。いや、何歳になっても難しい。自分の子どもに対しても、目先の結果を追うあまり褒めることで親の思惑に誘導しないようにしたいと思う今日この頃です。