MBAシリーズです。本日は具体的な出願要件をさらいます。

入学審査

ビジネススクールの出願要件は、大まかには出願理由(設問に回答するエッセイ)、CV(職務経歴書)、GMAT/GRE/EA のスコア、TOEFL/IELTS のスコア、推薦状、学部の成績書(GPA)です。

下はサイードビジネススクールの2022/3の審査要綱です。

Oxford Said Business School

上にリストされている要件のうち、学部の成績、出願料、その他資料を除く5点について見ていきます。

出願エッセイ(Online Assessment)

出願エッセイは、Online Assessment としてオンラインで設問がされている部分に回答を記入して提出するという手続き自体は簡易なものですが、これこそが願書の肝になります。私も夏ごろからエッセイについて学び始めて、書き終えたのは半年後(実際に書き始めてからは3ヶ月程度)でした。その間、アドバイザーと何度も打ち合わせて内容を練り、ドラフトを書いては修正する(推薦状などとの生合成をとったり願書として一体になるよう戦略的に仕上げる)という作業に時間をかけました。

MBAの出願エッセイについて、心からお薦めするのは、日本人のために書かれた名著、MBA Consulting INTERFACE 代表のウォーレン・デバリエ氏の「MBAエッセイ」一択です。MBAの出願を検討していたときにデバリエ氏の噂を聞いて、一体どんな人だろうと興味を持ったので、名物の「出願エッセイ戦略セミナー」を受講しました。長年多くのクライアント(一番有名なのはHBSで学ばれた楽天の三木谷社長)を有名大学に送り込んできた強者だけあって、エピソードが豊富でとても濃い内容でした。本を読むだけでも相当の熱量が伝わってきますが、できれば本物に会って直接指導してもらうと、いろんな意味で目の覚める経験ができると思います。

職務履歴書(CV)

これは日本でいうところの履歴書とは違っていて、一枚もののキャリア・フットプリントです。これについてもデバリエ氏の本に細かくポイントが書かれています。ビジネスリーダーとして素晴らしい可能性を秘めた候補者だということを知ってもらうために、アカデミックなことだけでなく、これまでの職歴で何を達成したのか、これからやりたいことの間にどのようなギャップがあり、それが志願理由になっていることを願書全体の中で伝える必要があります。他にも、単なる仕事人間ではなく、趣味などどんなものに興味をもっているのか、地域社会への貢献など幅広い人物像を醸し出す工夫が必要です。自分の歩いてきた道のユニークさは案外自分では分からなかったりするので、優れたアドバイザーを味方につけると、自分でも気が付かなかった自分の魅力を効果的に伝えることができます。CVのレビューはぜひアドバイザーにしてもらうのがお薦めです。

GMAT/GRE/EA

これらの試験について書かれたものは多いので詳しくは触れませんが、志願する大学の最低点を上回っていて、できれば平均点を取れていればそれ以上のスーパースコアを取る必要は内容に思います。その余力があればエッセイで志望動機や人物像をつたえることに注力した方が合格確率を上げることができるように思います。

Executive MBAの場合、通常のフルタイムMBAとは違って、職歴が長い人はスコア免除もあるので、こうした試験にリソースを割かなくてよいケースもあります。アドミッションオフィスに問い合わせると出願前のインタビューをセットしてくれるので、可能性がありそうな人は質問すると良いと思います。

また、GMATの簡易版といわれるExecutive Assessment という試験で代用できるケースもあります。GMATとEAの換算表

個人的なお薦めの勉強法は、司法試験の予備校講師として有名な柴田孝之さんの「試験勉強の技術」に要約されています。端的に言うと、①まずは過去問から解き始める(すでに理解しているものは勉強対象から外す)、②理解できていない分野について、かならず公式問題集で勉強する(公式でないものは微妙に出題の傾向がずれるので使用しない)、③勉強が進むにつれて一時的に点数が下がるが理解度が上がったことによって引っかかる問題がでてくることが理由なので、実力がついていることを信じて勉強を継続させる、の3点です。

さらにGMAT/EAについて個人的な意見としては、ある程度英語力が上がってきたら日本語の予備校に通うよりも、現地のライバルが使用しているのと同じ英語のリソース(の中で評判が良い教材)を使って勉強した方が効率的だと思います。GMATも半分は Quant (数学)ですが、残りはVerbal(国語)なので、頭を全て英語に切り替えて日本語を介さない訓練をする方が長期的にメリットがあります。実際にビジネススクールに入ると、ケーススタディや膨大なリーディングを全て英語でこなす必要があるため、最初は効率が悪くても英語学習脳に慣らしておくと後々楽かと思います。私はGMATは公式問題集とアプリ(移動中などに5分、10分で解けるもの)のみやりました。特に理系の人であれば、Quant は英語さえわかれば(!)高得点が取れるので、予備校に大きな授業料を納める前に一度過去問を解いてみるのがお薦めです。

英語の能力テスト(TOEFL/IELTS)

主に英語が使われる教育機関の成績修了書がない場合、英語の試験(TOEFL、IELTS)の提出が義務付けられています。Oxford の求める最低スコアはTOEIC110、IELTS7.5で、各セクションごとの足切りが設定されています。数ある大学院の中でもこの基準は最高難易度と言われています。

英語については、その気になれば1年くらい愚直に努力を重ねれば、スコアの大幅アップが見込めると思います。短期間でなんとかしようとする場合、生活の中に全面的に英語を取り入れて暮らす(ニュースやドラマ、映画、本、友人との会話まで全てインプットを英語に切り替える)くらいやれば、早まるのかなと思います。あとは過去問はこれもオフィシャルガイドのみ使用するのがお薦めです。

TOEFLかIELTSかの選択ですが、個人的な経験から言うと、IELTSの方が点数が出しやすく、他の数人の卒業生に聞いても同じ意見でした。試験との相性もあるのかもしれないので、両方受けてみると良いかもしれません。ちなみにTOEFLはアメリカ英語、IELTSはイギリス英語です。発音やスペルが違います。

推薦状

推薦状を書いてもらう人の第一条件は志願者(自分)のことをよく知っていることです。地位や名誉がある人でもあまり接点のない人(例えばほとんど接点のない政府高官)よりは 、仕事や学業をとおして志願者の人となりや能力を適切に判断できる関係性のある人(会社の上司)があることが第一です。その理由は、説得力のある推薦内容にするには具体的なエピソードを推薦状に盛り込む必要があるからで、いくつか共通の経験などを用意できそうな人を選ぶのが好ましいからです(つまり推薦状もエッセイの一部、あるいはエッセイの内容を証明するための書類と位置付ける)。そしてそのエピソードの中で、エッセイの設問で聞かれなかった内容についてアピールできたり、内容を深掘りできるとベストです。

推薦状はできるだけ願書のプロセスの後の方で準備するのが良いと思います。なぜかと言うと、自分の出願エッセイの内容が概ね固まったあとに、その内容を第三者として確認してもらったり、あるいは自分のエッセイでは触れることのできなかったエピソードや失敗談(からの学びなど)を盛り込んで、出願内容全体のバランスや深みを調整するために使えるからです。また、職場の推薦人の中に志願するビジネススクールの卒業生やあるいは同じ国出身のボスがいれば、一人は出願先の大学に親和性の高い人を選ぶのも得策かと思います。全て自分でドラフトし、アドバイザーの目を通ったものを推薦人に署名してもらいましょう。