CHILDREN / 子供のこと, Kindergarten / 幼稚園

幼稚園考査で起きた不思議な体験

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先日、幼稚園のママ友さんから、「一年前の考査の時にお見かけしたんですけど、私、保護者作文が全然書けなくてものすごく大きい字で書いていたら、隣の方(それが私だったようです)がすごく沢山書かれていて焦りました〜」と言われてしまいました。その時のことは今でも鮮明に記憶していますが、いや実はなかなか書けなくて困っていたところ、その時不思議な現象が起きていたのでした。

私たち親子がお世話になっている幼稚園では入園考査の一環として保護者に作文の課題が与えられます。例年、教会併設園としての宗教的な問いを含む設問が二つ与えられ、例えば、「あなたにとって神の存在とは?」と「お子さんの良いところは何ですか?」などの質問にほぼ白紙のB4の紙に回答を書いて提出します。

この点、私が試験前に準備に心がけなくちゃ…と思っていた唯一のことは、普段の仕事で扱う事柄(例えば売上金や現金回収、税金、支払、銀行取引、昇進や採用、職場の人間関係といった泥臭いあれこれ)を頭から追い払わなくてはならないなーということでした。後は出たところ勝負で思いついたことを書くつもりで。

いざ考査初日になり、その日たまたま仕事を休めた夫に同伴してもらって幼稚園に行くと、通常は二日目にでると言われていた作文がこの日に出てきてまずビックリ。夫がつきっきりで子供に構ってくれたという偶然にまず感謝でした。今から思えばアンチお受験の夫がニコニコ笑顔で協力してくれたことも、不思議体験その一でした(子供が泣き出したり、数分起きに邪魔されたら、書けないところだったので)。

夫と子どもが別室へ移動した後、早速作文に取りかかろうとしたところ、「なぜこの幼稚園への入園を希望されるのですか?」と「最近お子様の成長を感じたことは何ですか?」という設問を見て手が止まりました。何だかありきたりなことしか頭に浮かばず、「う〜ん、どうしよう」と不覚にも考え込んでしまいました。他の方は皆サラサラと書かれているように見えて焦りましたが、時間制限は特になさそうだったので数分考えてみようとしたところ、考えても考えても良いアイデアが浮かびません。

白い答案用紙を見つめていると、突然二十代の頃にお世話になったホストマザーのことを思い出しました。

彼女はイタリア移民の二世で敬虔なカトリック教徒で、昔よく一緒に教会に連れて行ってもらったことや、アメリカの様々なファミリーイベントに誘ってもらい、文化や言葉を教えてもらったこと、お礼を言う機会がないままに彼女もそのご主人も他界してしまったこと、私もいつか洗礼を受けたいと言ったのに10年以上も経ってしまったこと、いつか日本を案内するという約束を果たせなかったことなどが次々と思い出されました。

そのホストマザーに教えてもらったことの一つは、カトリック教会いかにグローバルに展開された組織であるかと言うことでした。世界中どのカトリック教会の礼拝に行っても手順は全て共通で執り行われるということで、それは今になってグローバルな民間企業に勤めていても驚くべき組織力だといえます。そしていつも彼女は「良いカトリック教徒もいれば悪いカトリック教徒もいる。悪いクリスチャンになるな、よいブディストになれ」みたいなことを常に言っていて、「今度の神父はイマイチだ」と批判したり、八十歳を過ぎても隅から隅まで新聞に目を通し、いつも強い政治的な意見を持つ衰えない人で、熱い信仰心を持つ一方で懐疑心や批判精神を大切にする方だったのです。

そういう姿を間近に見てきたので、カトリック教会や教徒と言っても多種多様な価値観を内包できる伝統ある組織なのだろうなという思いが私にはあり、いつか勉強してみたいと思いながら今に至っています。そんなことを急に思い出し、近づけばいつも開放的であるカトリック教会(規律は厳しいところもありますが)にお近づきになれる機会なのだということに突然気づいたのでした。

すると、突然書きたいことが思いが浮かんできました。一問目への答えは、この幼稚園が教会併設園なので選んだこと、教会の礼拝に参加して大変に開かれた存在であると感じたこと、このような伝統ある開かれた組織を大切にしていくための一員になれることを心から希望していること(今の自分にはそういう準備ができているような気がしたので)となりました。保護者としてこのような園に貢献していきたいというような内容のことを書きました。

そして二問目。一問目への答えを書きながらかなり内省的モードに突入していたため、自分は親としてなんと発展途上なのだろうという気持ちが頭をもたげました。子育てという初めて尽くしの経験で自分がなんとも未熟であることを白状し、子供に教えられることがなんと多いことか、下の子が生まれて十分に構ってあげられないこともあったのに、上の子がそんな母親を批判することなく受け入れてくれて、そして「ママのこと大好き」と労わるように言ってくれたことなどを我が子の成長としてお伝えしました。

自分の回答用紙を読み返して、じーんと泣けてきて、感動までしている自分がいたりして、本当に良い子たちを授かったなぁ、しかも二人も!大切に育てないといけないなぁ、この幼稚園に決まったらちゃんと教会に通うことにしよう、そんなことを考えさせられた考査での神がかり体験でした。

子どもの幼稚園考査の真っ只中にも関わらず、様々な過去の出来事を思い出し、自分でも気付かなかった心の内側を覗いたような体験でした。あれは今から考えても自分だけの力で表現できたものではないという気がしています。いつもの自分だったら、二歳になった時からこんな芸当ができるようになったとか、あるいはもっと教科書的で面白みのないことを書いていたような気がします。

そして考査二日目の親子面談で面接官をしておられた副園長先生に、着席するなり「とても暖かいエピソードをありがとうございました」と言って頂き、心が伝わったようでとても嬉しかったことを思い出します。この時かこの幼稚園と教会の大ファンになってしまった私です。

 

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